朝日が眩しくて目が覚めました。時計を見ると、まだ6時でした。少し前までは6時は暗かったのですが、少しずつ陽が長くなり春の足音が聞こえてくるようです。
最近は花粉によるくしゃみや目のかゆみもある季節ですが、暖かくなるのはやはり嬉しいものです。

  先日長野の友人が、名古屋のウィメンズマラソンに参加したことについて話してくれました。何人かの友人と一緒に参加し、走り終えて地元の長野に帰ろうとしたら、電車が止まって今日中に動くのかわからない状態だったそうです。バスで帰るかそのまま電車が動くのを待つか。どちらも必ず帰れるかわからない状況で彼女が選択したのは、新幹線で東京を経由して帰ることでした。その時に彼女が言っていたのは、「このハプニングのおかげで今回のマラソン大会が、私にとって一生忘れられない体験になりました。このハプニングを体験として楽しめる自分が嬉しいのです。」という言葉でした。
通常であれば、わざわざ大回りし、大変な思いをして思い出したくない出来事になりそうですが、その大変な思い出を体験として楽しんだという彼女の在り方が素晴らしいと思ったのです。

 インドでの体験は楽しい事ばかりではありません。むしろ欲しくないことの方がたくさん起こります。年中停電する、そのためジェネレーターに切り替わることが度々でオーブンが故障する、人が突然辞めてしまうなど挙げればきりがありません。
しかし、この体験を通して自分が成長していることも分かります。
これらの出来事に腹を立てても起きてしまったことは元には戻りません。
インド人になぜそうなったのかと聞くと、言い訳が山のように返ってきます。ですので原因を探すよりも、ではどうやって対処しようかと解決策を提案させると建設的な意見を言います(但し、その場限りの意見の時もありますので、吟味する必要があります)。
インドでは様々なハプニングが起こりますが、その時自分がどんな対応をするのか楽しみに思っている自分と彼女の言った言葉がシンクロして、共感が持てたのです。

 もし、ただ体験があるだと思えたら、楽しい体験も楽しくない体験も両方が存在します。
私たちの過去が今に被るので、「ただ体験する」ことは中々できません。
しかし、今この瞬間に在ることができたら、それが可能かもしれない。
ポジティブ思考というのではなく、ただ「今を体験する」ことで、起きてくることとダンスする(対処する)ことができたら、今よりもずっと軽く楽に生きられるのではないでしょうか。

 友人の話す姿が、わざわざ東京を経由して大変だったという在り方ではなく、そのことを楽しそうに話している姿に、私がなぜインドのビジネスに惹かれているのかと重なって合点がいきました。
皆さんはただ「今の体験」を体験していますか。


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